克服すべき沖縄の
固有課題と対応方向

沖縄には、自然的、地理的、歴史的特性などから派生してきた固有の課題が存在します。
県民が求める将来像を実現するためには、これらの課題を解決していく必要があります。

固有課題1 
大規模な基地返還と
それに伴う県土の再編

狭小な沖縄に存在する広大な米軍基地。沖縄は我が国の安全保障の負担の大半を担い続けてきました。しかし、安全保障は我が国全体の大きな課題であり、負担の公平が図られなければなりません。
「住民の安全・安心」確保のための条件整備を徹底すべく、日米地位協定の見直しなど必要な協議・措置の実施は、原則として日米両政府において解決が図られるべきです。また、今後の大規模な基地返還跡地については、国の責任の下において、適切な跡地利用が進められなければなりません。

課題への対応方向

  • 基地返還に伴う環境浄化、地権者の負担軽減策など諸問題の解決
  • 大規模な跡地利用を円滑かつ最適に進めるため、特別立法を含む新たな仕組み・法制度の創設

大規模な基地返還跡地への対応

  • 基地跡地等を活用した新たな公共交通システム・骨格的な道路網の整備により都市交通ネットワークを再編・構築し、交通結節機能の形成を図ります。
  • 国際機関の誘致等による国際貢献・協力機能や都市近接・リゾート機能等の導入を促進し、国内外の大学との連携によるサテライト機能の構築やリサーチパーク等の拠点形成を図り、新たな産業の立地を推進します。

基地返還に伴う県土の再編

  • 大規模な基地返還が予定されている[中南部都市圏]をはじめ、[北部圏域]、[宮古圏域]、[八重山圏域]がそれぞれの特性を活かしつつ、連携を図り、アジア諸国との国際交流・貢献を通して、持続可能な発展を目指します。
  • 特に、[宮古圏域]と[八重山圏域]の連携を強化し、国内外からの交流人口の増大を図るための戦略的な取り組みを進めます。

固有課題2 
離島の新たな展開

広大な海域に散在する大小160の島々からなる沖縄の離島は、個性ある伝統文化や豊かな自然環境といった魅力を持っています。その一方で、離島が持つ遠隔性や狭小性は、生活していく上で様々なシマチャビ(離島苦)を生み、人口流出や高齢化の要因となっているなど、多くの課題があります。

課題への対応方向

  • 離島の各種生活基盤の充実強化、防災の強化等
  • 離島に住み続けることができる条件の抜本的整備
  • 農林水産・観光産業の振興
  • 地元が潤う仕組みづくり

生活環境基盤の充実強化

  • 沖縄の心である「ユイマール精神」に基づき、県民全体で支え合う新たな仕組みを構築し、行政サービスの高コスト構造の改善に取り組みます。
  • 生活環境の整備、医療環境の向上、防災の強化、交通・情報通信体系の拡充、人材の育成、地域産業の振興、観光・交流の振興等を重視した「総合的離島振興策」を推進します。

離島が持つ総合力の発揮

  • 航路・航空路の運賃の低減化に向けた新たな仕組みを構築するとともに、東アジア地域等との国際航空・海上ネットワークの形成を進めます。
  • 農林水産業・観光産業等との連携強化と情報通信技術等を活用した「離島の魅力」の発信等によって、交流人口を増大させ、地域産業の振興や雇用の場の創出を図ります。
  • 守るべき生活文化や自然環境など「離島の魅力」の保全を図るとともに、良質な離島観光と地元が潤う仕組みづくりに取り組みます。

離島の新たな位置づけ

  • 日本の領海及び排他的経済水域(EEZ)等の確保や貴重な海洋資源の存在等を踏まえ、国土に準ずる重要な地域として、その保全・管理・振興に対する新たな枠組みの導入を図ります。

固有課題3 
海洋島しょ圏
沖縄を結ぶ
交通ネットワークの構築

多くの離島で構成される沖縄は、島々を結ぶ交通手段が海路・空路に限られ、そのコストが人的・物的な移動の大きな障害となっています。また、鉄道網等で結節する日本本土に対し、沖縄は自動車への依存度が高く、渋滞による経済的損失、公共交通の利便性の問題など様々な課題を抱えています。

課題への対応方向

  • 中南部都市圏を縦貫し、北部圏域に至る鉄道やLRTなど軌道系の新たな公共交通システムの導入
  • 航路・航空路の運賃の低減化を図る新たな仕組みづくり
  • 「低炭素島しょ社会の実現」や「少子高齢化・人口減少化社会への対応」を念頭に置いた効率的整備・改善

低炭素島しょ社会の実現

  • 公共交通の充実に加え、ガソリン車から電気自動車等のエコカーへの転換を積極的に促進し、CO2排出量を大幅に削減します。
  • 自動車に頼らないライフスタイルや自転車の利用を促進します。
  • コンパクトな都市構造の実現により「歩きたくなるまちづくり」を推進します。

少子高齢化・人口減少化社会への対応

  • 日常生活において誰もが利便性を確保できる交通環境の整備を図ります。
  • すべての人に優しいユニバーサルデザイン化を推進します。
  • 社会資本の整備の際は、建設時にメンテナンスミニマムの思想に基づき設計・建設を行い、建設後は、効率的な管理運用等により、耐用年数の延長に努めます。
  • 費用を平準化することで持続可能な社会資本の維持を図ります。

固有課題4 
沖縄における地域主権と
道州制のあり方

国と地方の役割分担の徹底的な見直し、権限移譲の推進、地方税財政制度の整備等、地方分権改革が進められています。国と地方の関係が抜本的に転換する取り組みが進展する中、沖縄としての将来像実現に向けた地域主権と道州制のあり方が求められています。

課題への対応方向

  • 地域主権を推進する制度を積極的に取り入れる
  • 道州制における沖縄単独州のあり方の検討

将来像実現に向けた地域主権のあり方

  • 地理的・歴史的特性を活かし、沖縄の潜在力をより引き出し、日本の発展の一翼を担うため、「一国二制度」的な各種制度を積極的に取り入れます。
    一括交付金など自由度の高い財源措置の構築が求められます。こうした制度的な裏づけにより地域のことは地域自ら考え、未来に対し自ら責任を持つ地域主権の思想の実現につながります。

将来像実現に向けた道州制のあり方

  • 21世紀ビジョンの実現の観点から、新時代に相応しい「地方主権型自立モデル」の実現を基本方向に、新しい国の形を先導する沖縄単独州のあり方を検討します。